向霧立越〜霧立越縦走のつもりが最短歩行記録に

 先週の土日に向霧立越から霧立越の縦走を考え、椎葉村まで行った。予定スケジュールは以下の通り。

 11月3日(土):
   新椎葉越登山口(1485m)→烏帽子岳(1692m)→五勇山(1662m)→小国見岳(1708m)→国見岳(1739m)→高岳(1563m)→椎矢峠(1370m)テント泊

 11月4日(日):
   椎矢峠→三方山(1677m)→向坂山(1684m)→白石山(1646m)→扇山(1661m)→新松木登山口→(タクシー)→新椎葉越登山口

 金曜日にT君の車で会社を出発した。都市高速に入って暫くしたら車がガタガタと鳴り出した。路側帯での停車は追突される恐れもあり危険なのでパーキングまで走る。右後輪のパンク。予備タイヤに交換して出発。
 家で着替えと荷物の搬出をしている間にT君はパンクしたタイヤの履き替え。この時点で「これは縦走を止めといた方が良いというお告げかもしれない」などという話はしていた。何となく嫌な予感というか、気が進まないというか、そういう感じは持っていたが、今回を逃せば、紅葉も終わり、気温も低下し、昼間の時間も短くなり、縦走は来年廻しにせざるを得ないという切迫感もあった。

 しかし、最近は病院通いの連続であった。10月24日は頭の調子が悪い、というよりもパソコンの文章入力が正常にできないということでMRI検査をしてもらった。特に異常は無いということだったが、素人目にもはっきりわかる白い脳梗塞の跡があった。先生は年相応と言っていたが。27日には生まれて初めて血尿が出た。尿の中に赤い血の塊が入っており、便器の中で徐々に血が広がっていくのである。造影剤を打ってX線撮影とエコー検査をしたが、異常なし。縦走前に血液検査の結果を聞いておこうと椎葉に移動する当日の朝、即ち2日の朝、病院に行ったらカメラの検査をするという。嫌な予感。そう、尿道からカメラを膀胱まで挿入して検査するという。一番したくない検査を受けることになった。診察の途中に先生がインフルエンザの予防接種はしますか?と聞くのでしてもらうことに。注射の後で看護婦さんが「激しい運動はしないで下さいね」というので「今晩から山に入るんだけど」。この時点で少し大丈夫かな?と思い始める。

 尿道からカメラを挿入されるのは考えただけでも怖いことなのでずっと目をつぶっていた。最初はカメラが比較的スムーズに入って行き始めたので少し安心していたら激痛が。前立腺の部分を通るときは痛いです、と先生が言う。膀胱の中に水150mLを注入され、空気も入れられ、カメラの先端が腹の中に当たっているようなチクチクした感触がする。検査が終わって、排尿しにトイレに行くとまた血が出て、尿道のいたる所が痛い。もう嫌。こういう状況で会社が終わった後、出発したのでした。

 その日は車中泊の予定だったが、T君の鼾は雷のように凄いので車の中に一緒に泊まることはできない。私はテント泊になるので、寒さを避けるために極力標高の低い場所が望ましい。ということで上椎葉ダムの女神公園に泊まる。 


 6時前に起きて弁当を食べる。登山口まで約30kmある。道は1.5車線で曲がりくねっているので約1時間掛かる。女神公園の標高約500mから新椎葉越登山口1485mまでダムの末端から徐々に高度を上げていく。朝日に焼ける山肌が美しい。


 7時過ぎに新椎葉越に到着。駐車場には誰もいない。今日は自分でも珍しくストレッチをして、足の筋を十分に伸ばす。ザックの重さは約15kg。ちょっと重すぎか。テントと寝袋が旧式のために嵩張って、かつ重い。
 T君は「僕はここで止めても良いですよ」などとまだ言っている。ゆっくり歩き始める。もみじは既に全部落ちている。T君は直ぐに息遣いが荒くなる。体が慣れるまで最初はペースを落として歩くのが鉄則。そういうことを考えながら、ザックが木に引っ掛かるのを避けようと腰を少しひねった瞬間に腰の両後背部に変な感触。痛みではないが、力が入らないような。暫く体の様子を見ると正にぎっくり腰の一歩手前。これは下手をすると歩けなくなる、と感じて縦走中止を決断。登山口からの距離約100m。
 そろりそろりと登山口に戻る。非常に情けない気分。


 上椎葉ダムまで戻ると水面に靄が漂う場所があった。右側に山からの流れ込みがあって、それに沿って流れているような感じである。


 二羽の鴨?が飛んでいく。


 靄の上を飛んでいく。


 朝はダム湖面全体から靄が立っていた。まだ暗くて写真には撮れなかったが。


 女神公園。ここで二泊。残念ながら車はあまり止められません。この季節は少ないようですが、前回、白鳥山〜烏帽子岳に登りに来た時はキャンパーが一杯で入れませんでした。


 女神公園から見た上椎葉ダムの上流部。奥が縦走コースだと思います。

 非常に情けない結果になりましたが、久しぶりにキャンプをして、酒を飲んで、夜空を眺めて、良い経験をしたとしておこう。

(2012年11月5日 記)

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